天使の舞―前編―【完】

黒い翼の中にあって、キャスパトレイユの白い翼は、一際目立つものだった。


白い細身のスーツを身につけて不敵な笑みを、アマネに向けているようだ。


明るいミルクティー色の緩い天然パーマを揺らして、全身から怒りのオーラを放出していた。


しばらくの睨みあいの後、クッと小さく笑って、アマネは眼鏡の奥の冷やかな瞳を細める。


「一人で魔界に乗り込んできた勇気、褒めてやるぞキャス。」


挑発するように、アマネはキャスに視線を送る。


アマネとキャスパトレイユ。


幼い頃から王子たちは、各王に連れられて、覇王会議の席でよく顔を合わせて来た。