推測するに、天界の王子が魔界の中に居て、何事もなく済むはずがないだろう。


人間界でみた限り乃莉子には、両国の仲が良いとは、到底思えなかったからだ。


ここは一先ず、シラサギの言う事を聞いておいた方が、賢明だと乃莉子は判断した。


「分かりました。
キャスパトレイユと呼びますから、外の様子を見せて下さい。お願いします。」


シラサギは渋い顔をしたが、覗くだけならと、乃莉子が窓に近づく事を許してくれた。


乃莉子は、すぐにベットから飛び降りて、小走りに大きな窓に駆け寄る。


そして、隠れて覗き見するかのように、半身だけで窓の外を伺った。


そこには黒い翼を持つ者達に囲まれた二人の王子が、程よい距離を取って対峙し、牽制しあう姿が見てとれた。