人間の方が、自分を愛さないのではないか?
と、いう不安はなかった。


彼方は、麗しき魔界の王子である自分に、絶対的な自信を持っていたからだ。


宮田が自分をイケてると思う感覚とは程遠く、彼方の自信は、誰の目から見ても覆す事の出来ない、事実であった。


自身を過信した単なるナルシストではなく、己を正当に評価した上での、自信である。


だから、自分が愛されないなんて事は、ない。


ただ、彼方にも選ぶ権利と、好みはあって・・・。


悠が気に入った女を、彼方も気に入るという保証はどこにもない。


人を愛するという事は、そんなに単純な話ではないはずだ。


「父上、いささか無謀な計画では・・・?」


勿論、そんな彼方の反論は却下されて、今があるのだが。