友達の少ないアスカにとって、学校でこの五人と過ごす時間が最も楽しいひとときだった。


特に、アネゴ肌で誰にでも世話を焼きたがるクミコとは小学校からの付き合いであり、今まで彼女には幾度となく助けられてきた。


そして今日も………。


(……やっぱり、見抜かれてる…………よね……。)


他の四人の他愛ない会話に耳を貸しつつも、時折、心配そうな視線をアスカの方へと向けてくる。


だが、アスカは昨日の事は誰にも話さないつもりだった。


……というよりも、


(「話せない」、のよね…。)


今も、昨日の出来事を整理しようと頭を働かせてはいるのだが、まるで大昔の映写機に映すスライド写真がバラバラになってしまったかのように、記憶に統一性が無いのだ。


いっそ、全てを「夢だった」、と丸投げしてしまう方が楽だったのかも知れない。


しかし、


「小浜さ〜〜〜〜〜ん!」


風紀委員の呼ぶ声。


運命は、そんな彼女を逃してはくれなかった。


かくして、心配そうに見守る五人を残して、アスカは職員室へと向かったのである……。



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