「……………スカ…………。
……アスカってば!ねぇっ!」
「………ふ…ぁ……っ?!」
ひどく間抜けな声をあげ、アスカは自分の腕枕から頭を起こした。
講義室の大時計は、いつの間にやら4時前を指している。当然、今日の授業は終了していて、既に生徒は半分くらいしか残っていない。
「どしたん?……何か悩み事とか……?」
友人で学級委員の松坂久美子(マツザカクミコ)が心配そうに覗き込んできた。
「あ………ううん、ちょっくら疲れてるだけ……。」
やはり、一晩の睡眠くらいでは昨日のリカバリーは万全とはいかなかったようで、
(……ヤバ………今日の授業の記憶が全くナイ………)
頭を抱えて蒼くなっているアスカの周りに、いつしか顔なじみたちが集まっていた。
「一限目からずっとだったじゃん!相当キてたんだなー!」
「また徹ゲー?いくら何でもそのうちカラダ壊すよー?!」
スポーツ万能少年の飯原遼(イイハラリョウ)と、そのお隣さんのしっかり者、南原恵理(ナンバラエリ)。今日も二人の息はピッタリだ。
「………で、でも、いいよね、PL(ペアレント・ロック)無いとさ、何時間でもゲーム出来るんだよね。」
「……ねぇ、ゲームの話よりもさぁ、今度、シティに新しい店が……」
体の大きさに反比例した小さな声でモゾモゾと喋るのは、片岡憲一(カタオカケンイチ)。
「天然記念物少女」の異名を持つ中嶋聖美(ナカジマサトミ)は、相変わらずのんびりした会話ペースを守りながら喋っている。
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