派出所の前に用意されてあったクラント(CLANT:市内巡回型無人タクシー)に乗り込み、ようやくアパートにたどり着いた時には日付が変わろうとしていた。
アスカの住まいは17階だ。
生体認証式のセキュリティがいつもと変わらない無個性な声で彼女を出迎える。
エレベーターに乗り、部屋に到着して玄関の扉を開けた時には、さすがに安堵感と疲れでそのまま倒れそうになった。
何とか思いとどまり、重い足を引きずるようにして自分の部屋に向かう。
ただひとりの同居人、弟の賢治(ケンジ)は、自分の部屋ですでに寝ているようだった。
(心配、かけただろうな…………。)
部屋の前を通る時に口だけで「ごめんね」と謝り、隣の自分の部屋へ入った。
目に優しいブルーを基調としたインテリアが彼女の帰りを出迎える。
アスカは安らかな睡眠を求めて制服のままベッドへとダイブした。疲れ果てた心身は、即座に彼女を深い眠りへといざなう。
その最中、アスカは誰かに呼ばれたような気がしたのだったが、今日の睡魔は眠るまで立ち止まる事を許してくれそうになかった。
(ま……………いっか。
また、明日………。)
重たすぎる瞼は、何の抵抗も無く閉じられた。
コッパーブロンドの髪の、はかない残像を残して…………。
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