女性は、ベッドの横の椅子に腰掛けると、足元の収納ボックスから救急箱らしき箱を取り出し、中のいくつかの器具をナイトテーブルの上に並べた。
そして、おもむろにアスカの首筋に首静脈式の体温計を押し当てる。
「………うん、熱は無いようね。けど念のため、他も見ときましょうね。」
そう言って、次は簡易式の心音測定器をセットし始める。
その時アスカは、初めて自分が「あの現場」のままの水着にバスローブのようなものをまとっているだけの軽装なのに気付いた。
寝ている間の事を色々と想像して赤くなるアスカを見て、女性が軽く微笑む。
「大丈夫よ。あなたが倒れている間、男どもには指一本触れさせてないから。……本当よ?だから、安心して……。」
その言葉の端々に、アスカは、この女性の本当の優しさを垣間見たように思った。
そこで初めて、女性の胸に付けられているネームプレートに気がつく。
『Y・KUSAKA』───。
「あ、ありがとうございます、日下(くさか)、さん……。」
手早くアスカの胸部に測定端子を取り付けていた女性が、ニッコリと微笑んだ。
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