電脳遊戯


「…………ん……………。」


アスカは、目覚めた。


頭が、重い。


体のだるさも、相当ひどかった。


それでも、起きなければならないと脳が判断したのは、微かに開いた目に入ってきた天井の灯りが、アスカの部屋のそれとは明らかに違うと分かったからだった。


重たい体を何とか励まし、上体を起こす。


今アスカが寝ているのは、キャスター付きの折り畳み式簡易ベッドだ。床はフローリングで、壁は一面を収納家具が占拠し、残りの三方は殺風景なコンクリート。机が二つあり、一つには端末が置かれてあり、もう一つにはコーヒーメーカーや茶菓子などが置かれている。


一人暮らしのアパートのようにも思えたが………あまり生活感のしない室内を見ると、ひょっとしたら、どこかの会社の仮眠室かも知れない。


そんな事をおぼろげに考えていると、不意にアスカの右手側にあるスライド式のドアが静かに開いた。


現れたのは、企業警察の制服に身を包んだ、二十代後半から三十代前半くらいの女性だった。


シャープなボディーラインときっちりと編み込まれた黒髪が、いかにも真面目そうな雰囲気を醸し出している。


ベッドの方を見て、アスカが起き上がっている事に少し驚いた様子だった。切れ長の細い目が軽く見開かれ、形良く描かれた眉が持ち上げられる。


「あら………御免なさい、ノックも無しに……。

まだ休んでいると思ったから……。」


しかし、驚きの表情はすぐに消え、元の、どこか堅さを感じる無表情な顔で、そう言った。





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