背後に、レイジが近づいてくる気配がした。


ショウの後ろに立ち、その肩ごしにアスカを覗き込む。


「この子が……本当に、コレを……?」

レイジが、アスカと倒れた参加者たちを交互に見比べながら言った。どうにも信じられない、といった様子である。


「……あぁ。間違い無い…。」


自らの身をもってあの現象を経験したショウの声は短いながらも確信に満ちており、レイジの異論を完全に封じ込めてしまった。


「………まぁ、そこいら辺の事情は、また『二課』に帰ってからじっくり聞かせて下さいね。

………それよりも。」


レイジは、一旦周りの倒れた参加者たちを見回してから、さらに言葉をついだ。


「どうすんですか?この方々。」


「……『本職』に任せるさ。奴ら、その為に居るんだろ?

…そろそろ引き上げるぞ。」


そう言ったショウは、もう既にスクリーンをめくって、外に出ていた。


「う〜〜〜〜〜〜ん…………。貴重なサンプルなんですけどねぇ………。

まぁ、だからと言って、気絶してる間に勝手に脳内スキャニングなんてしようものなら、バレた時が怖いですからね。もし訴えられようものなら…………、




……って、ショウ!何もそんなに急いで帰らなくても!

大体、帰るにしても、出動要請をして、来て下さる方々にちゃんと現場の引き継ぎを済ませてからでないと、職務怠慢と受け取られかねないんですよ?分かってんですか?



……お〜〜〜〜いっ!!」


まだ何か叫んでいるレイジを尻目に、リョウは扉を開け、倉庫の外に出た。


時刻は夕刻。一日の勤めを終えた太陽が、空を赤く染めながら海へと帰ってゆく様を、リョウはさしたる感慨も無く眺めていた。





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