「………くっ………、

も、戻った、のか………?」


二度もあの衝撃波を喰らった上に、さらに精神を蝕まれる「黒い世界」を体験したせいで、ショウの頭は酷い痛みに襲われていた。


それでも、何とか気力を振り絞り、周囲を見渡して、次に何をすべきかを教えてくれる事物を探す。


「ショウ!ショウってば!

聞こえてるんですか!聞こえてるんなら何とか返事して下さいって!

ショ〜〜〜〜ウっ!!」


相棒の、どんなに緊迫している状況でもその成分が何故か音に含まれない、相変わらずの間延びした声がスクリーン越しに聞こえてくるのに気がついたショウは、思わず笑みがこぼれた。


時間感覚が狂っていたので分からなかったが、あの世界に取り込まれてから、どうやら数分程度しか経過していないらしい。


「……もう大丈夫だ。入って来いよ。」


レイジにそう声をかけつつ、再び空間内を見渡す。


参加者が逃げる際に落としていった荷物や、引き倒されたパラソルやテーブル、椅子などが散乱し、加えて、例の衝撃波によって気絶した男女が数人、そこかしこに倒れている。


なのに、周りは雲ひとつない空に、コバルトブルーの海、白く輝く砂浜………。まるで、悪い夢のような風景だった。


ショウは、倒れている男女を注意深く確認し…………やがて、栗色の髪、白いビキニの少女を発見した。


少女の傍らまで行き、かがんでその様子をうかがう。仰向けに倒れていた少女───アスカは、髪が乱れ、表情も少し険しかったが、規則正しく上下する胸元を見る限り、命に別状は無いようだった。





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