「ざけんなッ!カネ払ってンのに帰れっかよ!」

「テメェらが帰れや!企業の犬がよォ!」


飛び交う罵声。

響き渡る怒号。


技術者風の青年は、「やれやれ」とばかりに肩をすくめた。


スポーツマン風の方はずっと押し黙ったままだった。
しかし、その鋭い視線は油断なく参加者の動静を見張っている。


なおも眼鏡の青年は言葉を継いだ。


「あまり迷惑をかけないで頂きたいんですがねぇ……。

あくまで抵抗するというのなら、残念ながら逮捕も止むを得ないですね。学校、職場、ご両親にも報告が行く事になりますが………。」


セオリーから一歩も出ていない眼鏡の青年の勧告だったが、それなりに効き目はあったようだった。


大半の参加者の動きが止まる。

「汚ねェ………。」

「権力タテにしやがって………。」




だがその時、この空間にいる誰もが予想もしない出来事が、静かに起こりつつあった…………。





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