「この前から、話すとき、ずっとタメ口きいてる」
「ぁ…」
「昔もそうだったな、佐伯」
「…」
その理由を上手く言葉にできず、黙り込む。
それは反発だった、反抗だった。一言でいえばそう集約されると思う。
だけど、それじゃ簡潔すぎて全てじゃない。
私はいつだって、なぜかこいつに頷くというか、染まるというか、迎合するというか、そういうことができなかった。その姿勢を第一に表わすとすれば、まずはタメ口というか、同じ目線に立つことだった。
さすがに付き合う前は、体裁だけは敬語使ってたけど。付き合いだして彼は、なし崩し的にタメ口きいていた。
だから昔みたいに話しかけられて、つい、出ちゃったんだ。
それだけ。それだけだ。
「それとも、それが佐伯流の友達との接し方?」
「は」
「だって俺たち、トモダチだろ?」
トモダチだし、映画くらい付き合ってくれる?
そんなわけない、じゃない。
友達にそんな口きくわけないでしょ。
素直に話すわよ。仲良くするに決まってる。友達なんだから。
頭で形になった言葉を、口にすることはできなかった。
だって、その言葉は、そのまま私に返ってくる。
言葉に詰まった私の頭を、あいつはなぜか撫でて、歩き出す。
無性に胸が苦しくなって、あいつの足元だけを見て歩いた。
「ぁ…」
「昔もそうだったな、佐伯」
「…」
その理由を上手く言葉にできず、黙り込む。
それは反発だった、反抗だった。一言でいえばそう集約されると思う。
だけど、それじゃ簡潔すぎて全てじゃない。
私はいつだって、なぜかこいつに頷くというか、染まるというか、迎合するというか、そういうことができなかった。その姿勢を第一に表わすとすれば、まずはタメ口というか、同じ目線に立つことだった。
さすがに付き合う前は、体裁だけは敬語使ってたけど。付き合いだして彼は、なし崩し的にタメ口きいていた。
だから昔みたいに話しかけられて、つい、出ちゃったんだ。
それだけ。それだけだ。
「それとも、それが佐伯流の友達との接し方?」
「は」
「だって俺たち、トモダチだろ?」
トモダチだし、映画くらい付き合ってくれる?
そんなわけない、じゃない。
友達にそんな口きくわけないでしょ。
素直に話すわよ。仲良くするに決まってる。友達なんだから。
頭で形になった言葉を、口にすることはできなかった。
だって、その言葉は、そのまま私に返ってくる。
言葉に詰まった私の頭を、あいつはなぜか撫でて、歩き出す。
無性に胸が苦しくなって、あいつの足元だけを見て歩いた。


