君は水面に映る月がほしいと 窓辺の桶を指差した。 『お空の月は?』と僕が問うと 君は静かに首を振って 『お空の月には、どんなに手を伸ばしたって掠りもしないけど』 桶の月をすくい上げた 『水面の月なら触れられるでしょう?』 すくった手から水がこぼれていく 『ちっとも届かないお空の月なら、諦めがつくけれど』 水と一緒に、月がこぼれ落ちていく 『こうして触れられる月なら、どうにかしたら、ちゃんとすくえるんじゃないかって』 揺れる水面に、月が映る 『期待、しちゃうじゃない』