ガチャッとリビングの入り口のドアを開け、ただいまー。
ソファーに横になっていた黒い影はのそりと起き上がり、おかえりーと一言。
そしてバタリッとまたソファーに倒れる。
だが、珍しく早帰りのあたしを見た瞬間凄い速さで起き上がり、あたしに寄ってくる……………シスコンの弟。


「早い!!てかなんで!!」

「たまには郁の相手しよっかなって」

「ん〜〜っ…士やっぱ好き!!」


勢い良く郁に抱き締められる。
士ー士ーとあたしの名前を連呼して、痛いくらいに抱きしめられてるあたし。
あたしは郁の胸を押し、はいはいと引き離す。
先ほど、病院帰りに廉と一緒に買ってきた夕飯の食材を取り出し、冷蔵庫にしまってく。
郁は嬉しそうに椅子に座ってあたしをみつめる。