俺と翔が何度もりんの名前を呼んでいると、りんの指がピクリと動いた。
そしてまぶたを震わせた後、りんの目が開いた。

「りん!」

「梨花!聡、俺、兄貴呼んでくるよ!」

そう言った翔は、病室から飛び出した。

「りん!」

もう一度りんの名前を呼ぶと、やっと目の焦点が合ったらしいりんが俺を見た。
りんの目が大きく開かれ、びっくりした顔で俺を見つめるりん。
俺がりんの名前を呼びながら手をギュッと握ると、りんは涙を流しながら弱々しい力で俺の手を握り返してきた。