さよならまでの時間


「俺が梨花からそのこと聞いたのは、卒業式の後、ショッピングセンターで倒れて病院に運ばれてきた時だよ。その時、梨花が言ってた。聡が女と一緒にいたって・・・自分とは全然違うタイプの女だって・・・聡を幸せに出来るのはその女だって・・・だから、聡と別れるって・・・俺に付き合ってるふりをしてほしいって・・・」

ショッピングセンターって・・・あの時だ・・・
りんが会社の先輩と一緒にいた俺を見て泣いてた、あの時だ・・・
あの後、倒れたのか?!

「自分が嫌われたら、聡が他のやつと幸せになれるからって・・・それで梨花、あんな酷いことを・・・あんなの、梨花の本心じゃない!梨花は、お前だけを好きでいたんだよ!お前の幸せだけを考えていたんだよ!」

俺・・・俺のことを想ってくれていたりんを、この手で殴ったんだ・・・
俺は、りんのことを殴った右手を握りしめた。
あの時の感覚は忘れられずにいたんだ。
好きでたまらないりんを殴ってしまった、あの時の感覚を・・・