転校生は憧れの人




――……



幸せな時間はあっという間に過ぎていき、私達は学校へ戻ってきた。


グラウンドに入り、皆の元へ向かう。



「なずな、おかえりー」


「ただいま!」



私の姿を見るなり笑顔で手を振ってきた梓ちゃんに、私は同じように笑顔で返す。


そんな時、梓ちゃんはある一点で目を留めて、一瞬含み笑いのようなものを浮かべた。



「何々ー? 憐くん、なずなの買い出し手伝ってくれたの?」



突然腕を引っ張られたかと思えば、何とも楽しそうに耳打ち。



「うん、そうなの」



私がそう言うと、梓ちゃんは“よかったじゃん”と言わんばかりに微笑んだ。



「一ノ瀬、これどうしたらいい?」