転校生は憧れの人




「……っ!?」



――そう。この男の人は、正真正銘私の兄なのだ。


彼の名前は、一ノ瀬大河(いちのせ たいが)。


現在大学2年生のお兄ちゃんは、背が高くてかっこ良くて、私にとって大好きな存在なんだけど……。


唯一、過保護なのが玉に瑕。



「この人、高月憐くんだよ。ほら、私が小学生の時にアメリカに行った! お兄ちゃんも知ってるでしょ? 今は、部活の買い出し中で……」


「憐……?」



私が説明すると、お兄ちゃんは思い出したのかポンッと手を叩いた。



「お前、憐か! 久しぶりだな」


「……」


「戻って来てたなら、そう言ってくれりゃあ良かったのに」


「……」



バシバシ背中を叩かれる憐くんは、迷惑そうにお兄ちゃんを見上げた。