「てめぇ、誰だよ」 ドスの利いた声。 血走った瞳。 勢いよく走ってきた男は、私達の前で立ち止まると、物凄い形相で憐くんを睨みだした。 「アンタこそ、誰」 その男に負けじと、憐くんも冷めた目で睨み返す。 ……ちょっと待って。ヤバいよ、これ! どどど、どうしよう……。 バチバチと火花が飛び散りあう中。 「やめて、お兄ちゃん!」 私は、無意識に叫んでいた。