転校生は憧れの人




倉庫を離れて、校門を出る。


私は、安定の緊張を保ちながら店へ向かって歩いていく。


当然だけど、2人きりの道。


近すぎるその距離に、身体が硬直するのがわかった。



「ねえ、どれくらいかかる?」


「へ?」



突然、耳に入ってきた声。


ボーッとしていた私は、またもや間抜けな声を上げてしまう。



「道のり。長いの?」


「え、ああ。あと、15分くらいかな」


「そう」



ドキドキドキ。


手の震えが止まらない。


少し会話するだけで、こんなにも心拍数が上がるなんて……!


静まれ心臓!


そう、私は自分自身に言い聞かせて息をついた。