「始業式の日、用事あるって言ったでしょ?」
「うん」
始業式……紛れもない、あの時だ。
「あれ、課題考査。先に受けることにしてもらったから」
「え! 私のこと怒って帰ったんじゃ……」
不意に洩れてしまった私の言葉に、憐くんは露骨に呆れた表情を浮かべる。
「ま、それも半分正解かもね」
「……っ」
うぅ。やっぱり怒ってたんだ……。
自分が凄く憎い。
そして私は、おずおずと口を開いた。
「だ、だから、私にはアメリカに行くこと教えてくれなかったの?」
質問するや否や、憐くんの表情をじっと見守る。
メニュー