転校生は憧れの人




「あ、憐くん、また明日……」



暫く歩くと、もう家の目の前。


……早かったな。


私は寂しい気持ちを抑えて、憐くんに笑いかける。



「ん」



憐くんはただ一言そう洩らすと、自宅の門を潜る。そして、軽く左手を挙げた。


……私、喜んでもいいんだよね?


私はその後ろ姿を、見えなくなるまでじっと見つめていた。



「ただいまー」


「おぅ、おかえりなずな」



幸せな気持ちを心に留めながら家に入ると、そこには、丁度お風呂からあがってきたところであろうお兄ちゃんがいた。



「……ん、どうした? お前、めっちゃニヤケてんぞ」


「え? そ、そうかな!?」



危ない危ない。


じっと覗き込まれて、慌てて顔を背ける。


……そんなにわかりやすいのかな、私。


実はまだ、お兄ちゃんには憐くんとのこと、話してないんだよね。



「どこ行ってたんだ?」


「え?」



マズい。


瞬時にそう思った私は、「勉強会!」と叫んで逃げるように階段を駆け上った。