私の話を聞くなり、梓ちゃんは大きな溜め息。



「ほんと、王子って何考えてるのか読めないね」



お、王子?



「王子って、憐くんのこと?」


「そう。なかなか良いあだ名でしょ」



ニカッと笑う彼女に、私はクスリと笑みを零した。


憐くんの“彼女”になった日から1日。


だけど実際、何もかわらなくて。


朝教室で会うと、私は憐くんといつもと同じように挨拶を交わしただけだった。


……恋って、難しい。


素直にそう感じる今日この頃。



「なずなちゃーん!」


「へ?」



突然名前を呼ばれ驚きながらも、私は声のする方へ身体を向けた。