当然の如く驚いた私は、不意に少し後ずさる。 ち、近いよ……! 一瞬とはいえ、その距離の近さに全身が瞬時に熱を帯びた。 「え、えっと」 頑張れ私! 今こそ、勇気を出すんだ。 ゆっくり息を吐く。そして、一気に吸い込んだ。 「憐くんが、王子様だったから……」 口にした途端、顔が熱くなって目線を地面にやる。 い、言っちゃったよ。 チラリと彼に視線を戻すと、何だか不服そうな表情が私の目に映った。 ど、どうしたのかな。やっぱり、変なこと言っちゃったから……。