転校生は憧れの人




「いいよ」



聞こえてきた3文字に、ホッとしたと同時に嬉しくなる。


……良かった。



「じゃ、行くよ一ノ瀬」


「うん!」



鞄を軽やかに肩にかけ、ポケットに手を突っ込みながら歩く憐くんを追い掛けて隣に並ぶ。


……幸せだなぁ。


見上げた彼の横顔が嬉しすぎて、不意にそんなことを考えてしまう。



「文化祭、本当に楽しかったね」


「……まあ」


「でも、凄く緊張したなー」


「確かに。一ノ瀬生き返った時、めちゃくちゃ目ぇ泳いでたもんね」


「そ、それは……」



だって、目を開けたら憐くんが近すぎたから……。


そんなの緊張せずにはいられないよ。