そして流れるように時は過ぎ、名残惜しくも帰宅の時間となる。
今日は本当に楽しくて、最高で。この充実した濃い1日が、ずっとずっと続けばいいのに、なんて思ってしまう。
……こんなに感動する文化祭は初めてだよ。
文化祭を通してより一層強まったクラスの絆に、このクラスの一員でよかったなーと心から感じる。
それから私は、一生忘れられない思い出が出来たと、溢れ出して止まらない幸せに浸った。
そして――。
「あの!」
私は1つ、小さな勇気を出してみる。
あの人の前に立ち、一言。
「憐くん、一緒に帰らない?」
ぎゅっと目を瞑る。
震える声。
だけど、ちゃんと響いた。
思い切って言ったものの、やっぱり心臓はいつもより騒がしい。



