転校生は憧れの人




「フフフ……フ」



突如、不気味な笑い声が洩れた。


私は反射的に、その奇妙なほど小刻みに震える肩に目をやる。



「お前、まさか……!」



すると、徐に頭を上げたその顔は、ぞっとするような笑みを浮かべていた。



「あー、はいはい。いつもの仕返しね」



仕返し……。


梓ちゃんがポツリと呟いたその言葉に、私は“なるほど”と頷いた。



――キーンコーンカーンコーン。



「あ」



チャイムが鳴る。


もうこんな時間になってたんだ。



「っしゃあ!」


「吉野、残念だけど時間切れ」



その音に喜ぶ憐くんと滝川くん。


……しかし、2人の考えは甘かった。



「それじゃあ、放課後に個人レッスンな」


「「はぁ!?」」



そんな2人の痛烈な叫びは、教室中に広がった。