転校生は憧れの人




ピリピリとした、重い空気が流れる。


彼の一声で、和やかだった教室は緊張感に包まれた。


な、何なの?


それは、きっと皆が思っていることで。


すうっと吉野くんが息を吸い込んだ瞬間、私はゴクリと唾を飲み込んだ。



「ずっと気になっていた、重大な問題があるんだ」


「重大な、問題?」



クラス全体は一体となり、吉野くんに耳を澄ます。



「憐の“こびと”が、全くかわゆくないんですけどーーっ!」



……へ。


か、かわゆくない?


吉野くんが放った瞬間、辺りは唖然とした空気に変わった。



「まずその目つき! そんな目つき恐いこびとはいないの。もっとラブリーにならんのか」


「いや、元々だし」


「次に演技! 何だその棒読みは。“えーんしらゆきひめがしんじゃったよ”って、全然悲しんでないじゃねぇか!」


「俺、演技とかしたことないから」



よ、吉野くん……?