転校生は憧れの人




あっ……。


バチリと目が合う。


私が探していた人物である憐くんは、呆れたような目をすると、“ドジ”なんて私に口パクしてみせた。


うぅ、憐くん……。



「じゃ、気を取り直してもっかい行こうぜ!」



私の肩を軽く叩いた吉野くんは、いつもの如くニカリと笑う。


そうだよね、次頑張ればいいんだよね!


ありがとう、吉野くん。



「うん!」



そう私は笑顔で返し、もう一度劇の準備を始めたその時――。



「……と、言いたいところなんだけど」



吉野くんはキリッとした面持ちで低く言った。