標札を見ると、“高月”という文字が刻まれていた。 今朝から引っ越し業者さんが来ているのは知ってたけど、まさか憐くんだったなんて。 「あっ」 不意に彼と目が合う。 「え、えっと」 「アンタ、クラスにいた……」 「はい! そうです」 話し掛けられて、頭は真っ白になる。 何緊張してるんだろう。 「お隣だったんだね、よろしく」 ドキドキが高まる中、私はぺこりと頭を下げた、その時――。