転校生は憧れの人




――……



「カァァーット!」



パンッという乾いた音が、教室中に響く。


吉野くんの手によって繰り出されたその音は、私達の動きをストップさせた。



「いいねー、皆! 最高にいいよ」



まるで自分がどこかの映画監督にでもなったかのような様子で、吉野くんは椅子から賞賛の声を上げる。


……そう。


只今絶賛劇の練習中なのだ。


今は、週に2時間あるLHRの内の1時間。その時間を使って、台本の読み合わせから、実際に立ってみたりもしている。


今まで2時間のLHRと毎日の放課後練習を経たこともあり、前半部分は確実に少しずつ良くなってきている。



「よっし、じゃあ今から“初”の後半やろーか皆ァ!」


「おぉーっ!」



クラス中の声が1つに纏まって沸いた。