転校生は憧れの人




「……別に。俺が好きな方選んだだけだし」



そう言うと、憐くんはグラウンドへ向かって歩き出し始めた。



「ちょっと待って!」



そんな背中を見て、私は無意識に叫ぶ。


……あ。


あれって、サイダーだよね。


憐くんの手に握られたそれを見ると、自分の手元のものと同じ柄の缶が目に入った。


憐くんと一緒だ。


そう考えると、急に心臓の音が速くなる。


大切に飲もう……。



「何? 用がないなら行くけど」


「ご、ごめんなさい! あの、一緒に戻ろうと思って」



私はサイダーをギュッと胸に抱いて、憐くんに近づく。



「そ。じゃあ行くよ」


「うん」



良かった……。


拒まれなかったことに安堵して、私は軽いステップを踏み出した。