徒歩通の私は、ただひたすら黙々と通学路を歩く。


そこまで遠くないその道のりが、何故だかいつもより辛かった。


憐くんの中で、私はとんでもなく薄い存在だったこと。


そんな5年越しにわかった事実が、何とも悲しすぎる。


想っているのは私だけ。そんなことは、もともとわかってた。


けれど、それ以前に、覚えてすらいなかったなんて……。


本当、情けないよ。



「はあ……」



そう、目の前に自宅が見えて溜め息をついた時だった。


反射的に体がビクッと跳ねる。


あ……あれは!?



「憐、くん」



ぽつりと零れた声を、はっと手で押さえる。


ちょ、ちょっと待ってよ。


何で憐くんが私の隣の家にいるのぉーーーっ!?