転校生は憧れの人





「あたしは、りす」


「へぇ。なずなは?」


「私は……白雪姫」



ポツリと私が呟いた瞬間。



「凄いやん!」


「いいなー」



吉野くんと滝川くんが口を揃えて言った。



「よくないよ……!」


主人公なんて自信ないし、不安でしかないのに。


「なんでやねん。俺なんか、こびとやで? なんかちょっと恥ずいわ」

「こびとなのにおおびとじゃん! ってツッコまれちゃうもんな!」

「そうそう……ってお前に言われたないわ!」


愉しそうにケラケラと笑う吉野くんにつられ、私もふふっと声を出してしまう。


「……ま、そんな俺は“木”なんだけどな」


……木?

そ、そんな役あったんだ……。


「最早人間ですらねーの。全然笑えねーから!!」


悲痛に叫ぶ彼に、私と梓ちゃんは哀愁の目を向けるしかなかった。


……そう言えば、憐くんは何の役になったんだろう。


ふと、そんなことが気になった。


もし、憐くんが王子様役だったら……。