転校生は憧れの人




――……



な、何でこんなことに……。


いやいや、これは単なる私の見間違いで。


うん、きっとそう。こんなの信じられるわけないもん。


悪い夢なら早く覚めてほしい。


……でも。


もう一度、チラリとくじ引きの紙を見て溜め息をつく。


放課後に入ってからというもの、私は何度もそれを繰り返していた。


だってさぁ!



「ねぇ、何になった?」



ポンと肩を叩く梓ちゃんに、私は口を動かす。



「えっと……白雪、姫」



そう……私の引いた紙に書かれた“白雪姫”の3文字。


それが私の溜め息の原因だった。



「なずな、凄いじゃん! あたしなんて“りす”だよ」



そっちの方がいいよ!


だって、主役なんて大役、どうすれば……。



「2人とも、何になったん?」



後ろから聞こえてきた声に振り返ると、滝川くんと吉野くんの姿があった。