「多数決の結果、白雪姫で決定です」



吉野くんの言葉が響いた瞬間、どこからともなく拍手が沸き起こる。


そんな中、城崎くんが「っしゃ!」と小さくガッツポーズを決めたのを私は見逃さなかった。



「吉野くん、こんな感じ? 思いつく限り書き出してみたんだけど」


「おー、サンキュ」



白雪姫、王子様、魔女、こびと、森の動物たち……。


黒板に書かれた登場人物に目をやる。



「何かやりたいのある人?」



その瞬間、教室に生まれた沈黙の渦。


誰も意見を言い出す気配がなく、ただ時間だけが流れる。



「あれ、皆さんないのー? ってか城崎、言い出しっぺのくせに王子やりたいとかじゃねぇのかよ!?」


「それとこれとは違うんだよ」



そこは積極的じゃないのね!


てっきりさっきまでの勢いで、王子役も買って出ちゃうかと……。