――…… 「なずな!」 私が部室に入るなり、梓ちゃんはすぐ駆け寄ってくる。 彼女は眉毛をハの字に垂らし、私を心配してくれているみたいだった。 「……大丈夫だったの。何かされなかった?」 「うん、大丈夫」 「良かったぁ」 ホッと胸を撫で下ろす梓ちゃんに、感謝が募る。 こんなにも、私のことを思ってくれているなんて……。 何もされなかったのは、勿論事実だった。 だけど――。