ドクン。 拍動が大きく波打って軋む。 ギュッと、心臓が握りつぶされたような感覚に捕らわれた。 ……どうしたらいいの? 私、言えないよ。 “私も憐くんが好きだからごめんね” ホントはそうやって言いたいのに。 駄目だ。 真っ直ぐな弥生ちゃんの気持ちを目の前にして、断ることも、承諾することも……できないよ。 「そういうことだから、よろしくね」 「……っ」 何も答えない私に、弥生ちゃんは笑顔でそう言う。 そしてただ立ち尽くす私の前から立ち去って行った。