「弥生ちゃん!」
紛れもなく、弥生ちゃんが立っていて。
彼女は、黒い艶やかな髪をかきあげ靡かせる。
「ちょっと話があるんだけど、いいかな?」
弥生ちゃんは少し頬を赤らめながら、そう言った。
私に一体何の用だろう?
何故か、少し嫌な予感がする。
だけど、せっかく話し掛けてくれているのに断るのは、いけないことだよね。
「ちょ、なずな。何か怪しくない?」
そうやって私を止めてくれる梓ちゃんには、悪いけど。
「いいよ、弥生ちゃん。……梓ちゃんごめんね、先行っててくれる?」
私は肯定し、歩きだした弥生ちゃんについていった。



