「ひ、久しぶりだね。憐くん」



やっとの思いで口から出た言葉。


言い切ってホッとしたのと同時に、私の鼓動は緊張からかドクン、ドクンと加速する。


きっと私、赤くなってる。


静まれ、心臓。


そんなことを思っても手遅れで。


止まることを知らない心臓を少しでも抑えるため、私はギュッと目を閉じた。



“久しぶり”



そんな言葉が聞けることを願ってた。


また、前みたいに、



“一ノ瀬”



って呼んでくれることを期待してた。


――けれど、次に私の耳に届いた言葉は全くの想定外のものだった。