**** 「じゃ、俺、聞いてくるから」 12時半を過ぎた頃。 空くんはそう言うと立ち上がって、図書室を出て行く。 その際に一度だけ、ぽんっと頭をなでられて。 「………寂しい、な…」 小さく呟いた声は、静かな図書室に消える。 目の前には、空くんがやっていた課題のやりかけが置いてあって。 すごいな……。 あたしのやった量の二倍は進んでるよ……。 茉莉花ちゃんがいてもいなくても、集中できなかった課題。 夏休みに、わざわざ朝から図書室でやっているものの、まだ半分も終わってなくて。