「……あ、私、もう帰りますね」



バスケ部の終了時間の、約30分前。

その時間になると、茉莉花ちゃんはいそいそと帰る仕度を始めて、図書室から出て行く。

どうしてなんだろうと空くんに聞けば、空くんもよくわからないらしく。

「葉月たちとは面識あんまりないから、緊張するんだろ」なんて、言っていた。



「気をつけて帰れよ、泉」


「うんっ。バイバイ、水原くん、白崎さんっ」


「バイバイ、茉莉花ちゃん」



茉莉花ちゃんが出て行けば、シーンとなる図書室。

茉莉花ちゃんが来てからというもの、茉莉花ちゃんがしゃべって、それに空くんがつきっきり状態で相槌を打つのがほとんどで。

前までは空くんの隣だったあたしの位置も、今では茉莉花ちゃんの位置へと変わってしまっていた。