本当のところは自信が無くて、俯きながらになってしまったけど。
でも、私が悪いと攻められるような場面は無かった。
仕事が忙しいのは一緒で、私は料理を作って待っていて。
でも彼がメールで“いらない”とかいうから...。
「最後に笑い合ったのは?」
「最後...?
笑い合うも何も、会ってません。
二週間前からかな?
そう、確かその時くらいからですね」
家に旅行バックが置いてあった。
私と色違いの旅行バック。
いつ中身を準備したのかは知らないけれど、今日の朝には無かった。
さすがに焦って、家の中をあちこち見たけど、日用品とかは置いてあった。
必要最低限だけ持って出て行ったのか、それとも旅行だけなのか。
私には分からないこと。
学校のことを楽しそうに話す彼が、学校のことさえ話さなくなった時は驚いたけど。
「もう、終わりなんですかね」
「......」
「先輩に愚痴言っても仕方無いですよね。
いいです。
何にも言わなくて。」
「そうやって、お前はいつも強がるのな」
「よく言われますけど、強がってるワケじゃありません。
先輩が、私たちの間に入る必要が無いから...そう言っているだけです」