…バタン!


と、玄関から大きな音がして、リビングから様子を伺った。
どうやら、おにいが帰ってきたみたい。


あれ。
今日はデートじゃなかったっけ?


「おにい。どしたの。」


おにいは、階段を登る一歩手前で、こちらを向いた。
眉間にシワが寄っていて、唇に力を込めてるかんじ。


「なに、その顔。ゆかりちゃんに振られたの?」


私は、手元にあるポテトチップスを次々と口の中に入れながら言った。


「いよ。この階段を登ったら…俺は、息切れをしてしまうんだ。」


「あ、そうなの…」


いきなり、何を言うんだろうか。
てか、人の話聞いてないよね?


「おっさんになったと、思わないか?昔は、サクサク登れてたのに。」


「おにいは、部活とかやって体力あったからじゃない。私は知らないけど。」


うちの階段って、結構、急だから、15歳の私でも、結構辛いんだけど…っていうか、誰でも辛いんじゃん?


「いよ…。お前は、お兄ちゃんの事をおっさんだと思うか?」


へ?いきなり何を言い出すんだ、おにいは。


ああ…あと3日で30歳だから、気にしてんのか。
男もそういうの気にするんだ。


「さあー?」


今まで、そんな事思った事は無いので、首を傾げた。