ドキドキドキ…
心臓の音は、止まる事無く響いている。


「徳ちゃん、いらっしゃい!」


ゆかりの家に上がって、ソファに腰かける。


…い、いつ言おう。


「誕生日おめでとう。今日は頑張っちゃった。」


ゆかりはそう言って、手料理とケーキを、テーブルにのせていく。


「…ゆかり。」


「ん?」


「俺みたいな、おっさんでよかったら、だけど……結婚してくれないか?」


ゆかりは、手に持ったビール瓶を、動かさずに、棒立ちしていた。


「…ほ、ほんとに?」


「ほ、ほんとに。」


俺は、ポケットから指輪の入った箱を出し、ゆかりに渡す。