カバンをつかんで廊下に飛び出す。
職員室と昇降口は校舎内の真逆に位置している。
教室を出て、右の階段を下りれば職員室、左の階段を行けば靴箱がある。
自然と足は左に向かう。
階段を駆け下りて、あと5段ほど残して一気に飛び降りる。
体育は嫌いでも運動神経は人並みにある。
廊下を走って角を曲がると
昇降口の開け放たれたドアから
綺麗な夕日が射しこんでいる。
靴箱から無造作に靴を床に投げて足を入れる。
「成田ぁ!何してんだ!?」
「っ…!?…平田、」
低い声のするほうに目を向けると
こっちを睨みながら楽しそうな表情を作る器用な平田先生。


