大通りの中ほどカフェテリア向かいの公園脇に
広げて数分、客の反応はすこぶる良い。人垣が
できてたちまち数本売れた。遠くでサイレンの音

が聞こえる。なにかあったのかな?人垣が増えて
忙しくなってきた。サイレンの音は間近に迫って
きた。すごくヤバイ!とうとうオサム達のまん前に

あの緑と白のパトカーバンが止まった。皮ジャンの
警官が飛び降りてくる。すばやくたたんでオオツキ
右へ、オサムは左へ。オオツキはすぐに捕まる。

オサムは2,3歩中腰から走りかけた。と、その時、

「ハルト!」(とまれ!)
と大声。もう一人の警官に。カチッとピストルを向
けられた。銃口は間違いなくこっちを向いている。

『わかった。間違っても引き金を引くな。降参!』
オサムはゆっくりと両手を挙げて立ち上がった。
カバンは足元に置いたままだ。カフェテリアあたり

から通報されたのだ。とうとうつかまった。2人
ともとても神妙にしていた。重犯罪者よろしくパト
カーに乗せられ、サイレンを鳴らして警察署へ。

ひょっとしてこれ、ミュンヘンで2回目?2年前の
裁判の時は確か参考人だったが、今度は現行犯だ。
マメタンすまん、つかまっちまったよ。

別室に通されて、
「パスポートは?何年旅してる?ヤーパンか?
街で販売しちゃいかんの知つとるか?」

くどくどと散々絞られたが、ひたすら恐縮していた
ので、無傷でパスポートも商品も返してくれた。
もうミュンヘンでは絶対にやらんとこうと決めた。

近くの小都市はまだまだ寛大なはずだ。ケッテは
絶対に売れる。周りの田舎を攻めよう!

二人は急いでユースへ戻った。マメタンは何も知
らずにもくもくとケッテを作っていた。