右側の列に入ると最初のおじさん、若めのおじいさん。
よっしゃと踊り出て超スローで1,2,3。1,2,3。
とフラメンコステップをでかい彼女と肩を組んで、大汗

かいて踊った。よしあの要領だな。肩が組めるとわかって
後のおじさん3人が踊った。最後のおじさんなどは
”オレ!”までやって大うけだった。何か怖いなと思って

いたら案の定、マメタンが小声でささやく。
「くるわよ、覚悟して」
「よっしゃ、何でも来い!」

オサムは身構えた。ラストハイライトクライマックス。
彼女は来た。遠く離れた扉の前から再びクラリネット。
めちゃくちゃ激しい究極のフラメンコ。一直線に。

オサムをめがけてやってくる。このまま来るかとマメタン
は、オサムの体を突き放す。一歩手前で反転。曲がスロー
に変わり、またスカーフが出てきた。左側のおじさん達、

ラストチャンスだが迫力に圧倒されて皆しり込みした。
さあ最後の最後だ、くるぞーっ。ジェラシーに燃え狂った
ジプシーの女王がフラメンコに思いを込めてオサムと

マメタンとの仲を裂こうとやってくる。曲がスローから
徐々に盛り上がってくる。きたーっ!ああ、この力には
逆らえない許してくれマメタン。

ふわふわとなまめかしく舞う水色のスカーフ。
一直線にオサムをめがけてやってくる。
『絶対逃すものか。覚悟をおきめ!』

オサムは女王蛇ににらまれたカエルだ。
『思いっきり踊ってお帰り人生は1度しかないんだから』

そう言ってる気がしてスカーフとともに、もう、
オサムは立ち上がっていた。

肩を組んでステップ。離れてステップ。強弱、パタッ。
カクンと顔上げ。どんどん曲が速くなる。向かい合って
とにかくどキザに。思いっきりのフラメンコステップ。

ラストの”オレ!”が決まって、大拍手!
ブラボー!ビバ!フラメンコ!ジャポン!