警察と繋がるのは、監禁事件のこと……。やめよう。そのことと、紺野は何も関係がない。
「それともう一つ、分からないのは。
 例え、お前が国際ホテルのスゥィートルームに附和と2人で朝までいたとして、さっきニュースで流れていた男に盗撮されたせいでその映像が残っていると紺野が報告してきたとしても、お前が今慌てて紺野に会う必要が、どこにある?」
 完璧な推察力に、脱帽した。
「……」
 言葉にならない。
「簡単に他人を信用するな。何度言えば分かる」
「べ、別にそんなっ、普通だよ。普通じゃん! 私。だってさ、知り合いが用があるって言えば、行くでしょ、普通。そんな……いちいち人疑ってたらキリがないよ」
「それで何度も危険な目に遭っただろうが」
 返す言葉に詰まった香月は、上目遣いで巽を睨んだ。
「だってさ、今回電話がつながらないって騒ぎだって、あなたがいつもちゃんと連絡くれないからこうなったんでしょ? いつもじゃん。いつも私が連絡してばっかり。あなたから電話くれたことなんてある? 数えるくらいしかないじゃない。だから突然電話番号が変わったって言われたら、そうなんだって思うしかないじゃん。
 私は普通の人なんだよ……。あなたみたいに、例え連絡が取れなくなったからって、高級車で人のマンションの前で待ち伏せしてくれるような部下がいるわけでもないし。ましてや、けんかした後だったし……。
 それに、いつも仕事仕事って、それだって本当かどうか分からないし。
 海外出張って言いながら、ほんとは日本にいたり、するかもしれないし」
「何が言いたい?」
 巽は、言いたいことに気づいている気がした。今こそ、切り札を出すときなのかもしれない。
「香港に出張って言った日、ホテルで見たよ……四対財閥の女の人と。仕事なのかもしれないけどさ。けど、仕事で日本にいるって言ってくれれば、私だってあのホテルに仕事でいたんだし、少しくらい時間とれたかもしれないのに」
「時間がとれれば連絡していた」
「うそ……」
「その当てつけか? 四対の弟に絡んでいたのは」
 嘘……なんで知ってる!?
「べっ……絡んでないよ! あれは、最上が……」
「人はどうあれ、自分の意志で動いたんだろう? 伊豆旅行もオーストラリアも」
「!?あ、……あれはだから、その、最上が浮気しようと思ってんなら、私が一緒にいた方が都合がいいと思って……」
「その独特の考え、やめた方がいい」