絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅳ

「というか、強引に、よね」
　庶務課は面白くなさそうだ。
「ねえねえ、四対さんってどんなのがシュミなんですか?」
「えっ……さあ……」
「というかさあ、彼女、本当にいないの?」
　庶務課が聞く。
「さあ、そこは私も本当によく知らないんです。だから、……そこを聞いてからの方がいいですかね?」
　だが多岐川は、
「そんなの聞かなくても大丈夫!!　知り合っちゃえば、こっちのもんです♪」
　というような人物ではないんだけどなあ……。
「可愛い系?　セクシー系?」
「えっ?」
　多岐川の質問の意味が分からない。
「四対さんの趣味」
「……さあ……」
「知り合ってどのくらいなんですか?」
「えーと……、一年くらい前?　かな」
「じゃあまだ短いんだ……」
「うんそう、だからほんと、あんまりよく知らないのよ!」
「けど、呼んだら来るんですよね?」
「え、まあ……その用件にもよるだろうけど……」
　そうだ、呼び出すったって……美味しいところがあるからって、スカイ東京行ってもなあ……、船場行ってもなあ……というか、どうやって多岐川と偶然知り合うんだよ……。本当、伊吹くらいじゃないと無理かもしれない……。
「どっかカフェとかはどうです?」
　既に香月と多岐川以外の人も話を進めている。
「カフェ……」
「どうです?」
「カフェに2人で行ったことないなあ……」
「じゃあ今までどこに行ったことがあるんですか?」
「えーと、四対ビル、オーストラリア……、クラブ……、くらい?　あ、2人で行ったのは、そのくらい。大勢で行ったのは、伊豆旅行とか……かな」
「やっぱレベル高いですね」
「まあ、漫画喫茶に行ったことはないとは言ってたけど。この前は行ったことないから行きたいって言ってはいたけど……」
「却下です。漫画喫茶で知り合うなんて」